ホームインスペクションは新築でも必要?理由とメリットを理解しよう!

「新築物件にホームインスペクションは必要ない」と考えている人が少なからずいるのではないでしょうか?結論から伝えると、新築でもホームインスペクションは重要です。なぜなら、実際には新築であっても、施工中のミスや欠陥により問題が発生することも少なくないため、建物を評価することによって、問題を早期に発見・対処できるだけでなく、将来起こりうるリスクも軽減できるからです。

この記事では、新築の場合にインスペクションが必要な理由やメリットとデメリット、費用相場などについて解説します。

この記事を参考に、ホームインスペクションに対する理解を深め、新しい快適な生活をスムーズにスタートしましょう。

ホームインスペクションは新築でも必要?

前述のとおり、ホームインスペクションは新築の場合でも重要です。さすがに、経年劣化による不具合はありませんが、施工中のミスや建築過程での不備・材料の品質問題などが原因で、引き渡し前や将来的に修理や改修が必要になる場合があるからです。

下記のグラフの消費者の住宅に関するトラブルの相談件数の推移と、相談内容に関するデータをご覧ください。2021年の住宅のトラブルに関する相談件数は25,675件で、そのうち新築住宅のトラブルに関する相談が18,197件と7割を超えています。すべてが住宅の不具合や欠陥に関する相談とは限りませんが、診断を受けることによってトラブルが減るであろうことは容易に想像可能です。

出典:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報 2022」 

新築物件で実際あった欠陥や不具合事例

実際に発見された新築物件での欠陥や不具合の事例を紹介します。

新築物件であった欠陥や不具合箇所具体例

床下で水たまりを発見
床下で水たまりが発見され、新居にもかかわらず湿気が多くカビも繁殖していた。

換気扇ダクトの取り付け忘れ
お風呂の天井点検口から天井裏を見たところ、取り付け忘れのダクトがそのまま放置してあった。そのままにしていたら、天井裏にカビが多数繁殖していた可能性あり。

天井裏の束の取り付け漏れ
図面に記載されていた箇所に、構造材を支えるための「束(つか)」といわれる小さな柱が取り付けられておらず、穴が空いたままになっていた。

このように、ホームインスペクションを行うことによって、新築物件でもまさかと思えるような欠陥や不具合が見つかります。

新築のホームインスペクションが必要な3つの理由

2018年4月からの宅地建物取引業法の改正によって、中古住宅売買の際に不動産仲介会社に対するホームインスペクションについての説明が義務化されました。これにより、ホームインスペクションを利用する人は増えてきました。


参照:国土交通省「改正宅地建物取引業法の施行について」

しかし、新築住宅の場合、ハウスメーカーや不動産の担当者から「新築だからホームインスペクションは必要ないですよ」といわれるケースも多いです。

ここでは、なぜホームインスペクションが必要なのか、3つの理由を解説します。

建築時の中間検査や完了検査では品質保証にならないため 

新築のホームインスペクションについてよく聞くのが「家を建てるときに検査しているから必要ない」という声です。

新築住宅は、自治体もしくは指定の確認検査機関から建築途中の中間検査、建築後の完了検査を受ける義務があります。しかし、これは建物の品質保証を目的とする検査ではありません。図面どおりに建築されているかを目視で可能な範囲で確認する限定的なものです。

ホームインスペクションのように建物の不備や修繕の箇所、問題点をチェックする検査とは全く性質が異なるため、住宅自体の品質保証にはならないのです。

瑕疵担保保険では品質保証にならないため 

「新築住宅には、瑕疵保険があるから必要ないのでは?」と思っている方もいます。

新築住宅には「住宅の品質確保の促進等に関する法律」いわゆる「品確法」により、10年間の瑕疵担保責任による保証が義務づけられています。

新築住宅の販売後に建物の欠陥などが見つかった場合に、保証責任をカバーするため売主側が加入する保険が瑕疵担保保険です。

ただ、瑕疵担保保険では新築住宅の品質を保証することにはなりません。売主が瑕疵担保責任を負うのは基礎や壁、柱などの構造上重要な個所と、外壁、屋根など雨漏りを防止する部分などに限られており、それ以外の瑕疵・欠陥は保証の対象外です。

断熱材の施工ミスや床下の水漏れ、床の傾斜や住宅の性能自体の不備、変形や剥がれなど、診断を行った際に瑕疵担保保険による10年保証以外の欠陥が見つかることも多いため、瑕疵担保保険があるから品質保証に問題ないことにはなりません。

注文住宅・大手のハウスメーカーだからこそ必要な場合があるため 

「有名なハウスメーカーだから検査は大丈夫」と考えている方は少なくありません。逆に、大手のハウスメーカーだからこそ必要ということもあります。

なぜならば、ハウスメーカーによっては1人の現場監督が複数の建築現場を掛け持ちしているところも多く、1人が10棟以上の新築現場を同時に受け持つケースも珍しくないからです。週に1回どころか2週間に1回も現場に顔を出せないと悩んでいる現場監督もいます。

どれだけ優秀な現場監督でも人間ですし、忙しすぎて十分にチェックができないケースもあるでしょう。大手のハウスメーカーの場合、社内検査体制がきちんと整っている場合も多いのですが、このような状態で施工不良などのトラブルも発生するケースがあるのです。

ホームインスペクションを新築で行う3つのメリット

ここでは、ホームインスペクションを新築で行う場合のメリットについて解説します。

メリットは次の3点です。

・引き渡し前に修復が可能

・品質確認が得られる

・安心して購入できる

それぞれ具体的に説明します。

引き渡し前に修復が可能

メリットの1点目は、引き渡し前に修復が可能になる点です。住宅診断士に建物の診断・点検を依頼することにより、潜在的な問題や不備を確認することは極めて重要であり、ホームインスペクションの結果に基づいて、修復が必要な場合、その箇所や状況を特定し把握できるからです。

不具合や欠陥が発見できれば、引き渡し前に補修や是正措置を行ってもらえる可能性が高くなります。

品質確認が得られる

メリットの2点目は、品質の確認が得られるという点です。

建築士などの専門的な知識を持った診断士が第三者として点検・検査を行い、客観的な立場から建物の状態を評価するため、公平な品質の状態がわかります。

是正するべき指摘があれば、売主側に問題解決を依頼でき、とくに問題がなければ品質が良い住まいだという安心感が得られます。

安心して購入できる

3点目のメリットは、結果的に安心して購入できることです。ホームスペクションを経ることにより、問題が解決され品質に問題がない住宅が引き渡されるため、不安なく新しい住まいを購入できます。

将来的に起こりうる不具合やトラブルのリスクを軽減し、安心・安全の快適な生活環境を手に入れることができるでしょう。

ホームインスペクションを新築で行う3つのデメリット

ここでは、ホームインスペクションを新築で行うデメリットを紹介します。

インスペクションを新築で行うデメリットは次の3点です。

・費用がかかる

・調査時間がかかる

・信頼関係に影響する場合がある

それぞれ詳しく説明します。

<中見出し>

費用がかかる

デメリットの1点目は、費用がかかるという点です。

ホームインスペクションは専門的な知識を有する診断士が行う建物検査であり、当然費用が発生します。

ホームインスペクションにかかる費用は新築の場合、一般的に50,000〜70,000円が相場です。また、専門的で踏み込んだホームインスペクションを希望する場合にはさらに費用が発生する場合があります。

調査時間がかかる

デメリットの2点目は、調査自体に時間がかかる点です。

建物の調査自体は、建物のサイズや調査の内容に応じて、数時間で終わるものもあれば数日を要するケースもあります。

また、ホームインスペクション終了後に報告書が提出されるまでに1週間ほどかかる場合もあります。

このホームインスペクションにかかる時間は、物件の引き渡しや工程が変更になるなどスケジュールに影響がでる可能性があるため、事前によく売主側や、インスペクターの依頼先と調整をする必要があります。

信頼関係に影響する場合がある

デメリットの3点目は、売主側との信頼関係に影響する場合があることです。

ホームインスペクションを行った結果、仮に小さな不備や欠陥が指摘された場合、大きな問題だと誤解されてしまうことがあります。

新築の場合のホームインスペクションは、ただでさえナーバスになる売主もおり、必要以上の波風が立ってしまい、信頼関係に影響してしまう可能性があります。

調査結果をめぐる誤解から、取引自体が遅延したり、破談となってしまうケースもあるため注意が必要です。

このように、ホームインスペクションを新築で行う場合、メリットとデメリットが存在します。

それぞれのポイントをよく理解し把握したうえで、住宅診断を行うかどうかを検討しましょう。

新築のホームインスペクションの費用相場は?

新築のホームインスペクションにかかる費用の相場を解説します。

・新築一戸建ての場合の費用相場

・新築マンションの場合の費用相場

それぞれ順番に説明します。

新築一戸建ての場合の費用相場

新築一戸建てのホームインスペクションの一般的な費用相場は、前述しましたが基本調査で50,000〜70,000円です。

建物の大きさや特別な調査が必要な場合には追加費用が発生するケースがあります。ただ、一般的には

築年数が長い古い物件や大規模な改築後の物件に比べて、新築の場合は費用が高くなるケースは少ないです。

しかしながら、床下や小屋浦への侵入調査で、隅々まで細かく調査を依頼する場合には30,000円程度の追加費用がかかります。

新築マンションの費用相場

新築マンションのホームインスペクションの費用相場は、40,000〜60,000円程度です。

ただし、これは標準的な広さのマンションの平均的な価格であり、通常より大きめのマンションや特殊な構造をもつ物件の場合は、追加で費用がかかる場合があります。

新築のホームインスペクションを実施するタイミング

新築のホームインスペクションは、適切な検査の時期を見誤ると、建物の品質や安全性にかかわる問題が見逃されてしまう場合があるため、実施タイミングが重要です。

タイミングを誤ると、将来修繕費やリフォーム代が増大してしまうことになりかねません。

新築のホームインスペクションのベストなタイミングは、建物完成前の事前検査と引き渡し前の最終検査のときです。

事前検査では、住宅の外観や内部の仕上がり状況、設備などの取り付け具合、構造や断熱、防水などの要素が点検されます。

一方、最終検査では全体的な補修の状況・品質チェックなどが行われます。

【事前検査時のインスペクションの具体例】

調査・点検項目具体的な確認内容

外壁関係
・建物の外壁の塗装、仕上がり状態・傷やひび割れなどの有無

内部の床や壁
・床材や壁紙の施工状態、仕上がりの質・傷や欠け、ゆがみなどの有無

各種設備の取り付け状況
・キッチン・バスルーム、トイレなどが正しく取り付けられているか・動作や水漏れなど問題の有無
窓やドア・すべての窓やドアの開閉状態や密閉性隙間やしまりが悪い箇所がないかどうか
防水性や断熱性・屋根や壁の防水性、断熱材の施工状態・水漏れがないか否か

これらの調査・点検を通じて、住宅の仕上がり状態を確認し、修正や補修の必要があれば、施工業者に要求できます。

【最終検査時のインスペクションの具体例】

調査・点検項目具体的な確認内容

構造部分
・住宅の基礎部分である柱や梁などに傷やゆがみ、不適切な施工がないか・耐震性

配管関係
・水道やガス、排水などの配管の点検、給湯器や暖房器具などの設備の機能・配管の接続状態や漏れ、適切な設置がなされているか

電気設備
・照明やコンセント、スイッチなどの電気設備の点検、ブレーカの動作確認・正しく配線されているか、安全な状態にあるか

安全性
・火災報知器などの安全装置の設置状況の点検・適切な位置に設置されているか、正常に機能するか

ドアや窓
・各所のドアや窓の開閉状態の点検・適切に開閉ができるか、閉まり状態がしっかりしているかどうか

住宅内部の仕上がり状態
・床や壁、天井の仕上がり状態・傷や汚れ、塗装の剥がれや仕上げ材の欠陥などの有無

これらの点検を通じて、住宅の構造や設備の安全性など全般に問題がないことを確認します。必要に応じて、引き渡し前までに修正や補修を行うことになります。

このように、新築住宅の場合は引き渡し前にホームインスペクションを行うことが重要です。施工上の問題や不具合が確認できた場合、引き渡し前に対策できるためです。

引き渡し後に発生するリスクを軽減しながら、住宅の品質を確認することで、安心して新しい住まいを購入できるでしょう。

ホームインスペクションを正しく理解して安心を得よう!

ホームインスペクションでは、専門知識を持つ住宅診断士が専門的かつ中立的な立場から、住宅の不具合や欠陥の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などに関するアドバイスを行います。結果、住宅購入の際に、建物自体のコンディションを確認し、安心して新しい住まいを手に入れることができます。

ホームインスペクションはよく人の健康診断に例えられます。人の場合、どこかに異常が見つかった場合に、自覚症状がなくてもなにかしらの治療をしなければ、放置しておくと5年後や10年後に手に負えないような状態になることもあります。

住宅も同様で、今現在は表立った不具合がなくても、ホームインスペクションを受けることにより、いろいろなリスクを確認できます。

人の場合、今すぐ治療が必要な場合もあれば、将来のリスクに備えて治療や投薬が必要な場合があるように、住宅に関しても診断の結果により、さまざまな対応を施すことによって現在および将来のリスクを軽減できるのです。

ホームインスペクションを正しく理解して診断を受け、安心という大きな財産と快適な生活を手に入れましょう。

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