消防設備点検が年2回必要な根拠とは?点検項目や業者を選ぶポイントも解説!

火災の発生を未然に防ぐ、また発生した火災の被害を最小限に抑えるために重要な消防用設備に対して、国は定期的な点検を義務づけています。

いざというときに正常に使用できるかどうかを確認するために、日頃から設備を点検することが極めて重要だからです。

この記事では、

・消防法で規定している消防設備点検が年2回である根拠

・消防設備点検項目の内容

・設備点検を依頼する業者を選ぶ際のポイント

について解説します。

この記事を読むことで、消防設備に関する知識の向上や重要性を再認識することが可能です。

消防設備点検を年2回おこなう根拠は?【消防法17条3の3】

消防設備点検を1年に2回おこなう根拠は、消防法第17条3の3により規定されているからです。

消防法第17条3の3では「防火対象物の関係者は、消防用設備等または特殊消防用設備等について、定期に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告しなければならない」と義務づけています。

また、消防長告示第9号では、消防用設備の種類に応じ「6カ月に1度の機器点検」と消防設備等の全てもしくは一部を作動、または使用することにより総合的な機能を確認する「年に1度の総合点検」をおこなうことを定めています。

「半年に1度の機器点検」と「年に1度の総合点検」つまり、年に2回の消防設備等の点検をおこなう必要があります。

参考:総務省消防庁「消防用設備等点検報告制度について」

2001年9月に新宿で発生した歌舞伎町ビル火災では、多くの死傷者を出す大惨事となりました。

このビルでは、被害が大きくなった原因として、

・自動火災報知設備のベルが鳴らなかった

・避難経路・避難階段がふさがれていた

・避難器具が使用できない状態であった

・防火戸が閉まらなかった

などが挙げられています。

いずれも消防用設備の設備点検をおこなっていれば、ここまで被害が拡大しなかったといわれています。

このように、火災時に消防用設備が正常に作動しないと大惨事につながるため、消防法により定期的な(年2回の)点検が定められているのです。

規定されている消防設備点検の内容について

ここでは、規定されている消防設備点検の内容について説明します。

・消防用設備点検が必要な建物

・消防設備点検の種類(年2回の機器点検と1年に1度の総合点検)

・定められている消防設備点検の報告回数

・消防設備点検は誰がおこなうのか

・点検や報告を怠った場合の罰則

それぞれ具体的に解説します。

消防設備点検が必要な建物

以下の条件に該当する建物は、消防設備点検が必要です。

・延べ面積1,000平米以上の特定用途防火対象物

ホテルや百貨店、病院や老人ホームなどの施設などで、不特定多数の人が出入りする、または災害時にスムーズな避難が難しいと予想される建物が対象となっています。

・延べ床面積1,000平米以上の非特定用途防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの

特定用途防火対象物ではない場合でも、各地域の消防長や消防署長が必要であると判断した建物で、学校や図書館・工場やテナントビル・マンションなどが該当します。

・延べ面積1,000平米以下の特定用途防火対象物で、直通階段が1つしかないもの

延べ面積が1,000平米以下の特定用途防火対象物であっても、屋内に直通階段が1つしかない場合は対象です。

避難経路が1箇所しかないため、避難時にリスクが高いと予想されるためです。

年2回の機器点検と1年に1度の総合点検

消防設備点検には機器点検と総合点検の2種類があります。

機器点検は、1年に2回規定されており主に目視で外観を確認します。

また、設置している場所の確認や、簡単な操作により状態をチェックします。

一方総合点検は、1年に1回実施する必要があり、設備を実際に作動させて総合的な機能に問題がないかチェックします。

定められている消防設備点検の報告回数

消防設備点検の報告が必要な回数は、特定防火対象物が年に1度、非特定防火対象物は3年に1度です。

勘違いしやすいのは、たとえば非特定防火対象物の対象の建物の消防設備の点検報告は、3年に1度ですが、点検自体も3年に1度でいいと思い込んでいるケースです。

報告の義務があくまでも3年に1度であって、消防設備の点検自体は前述したように年に2回(1年に2度の機器点検と1年に1度の総合点検)必要であり、報告の周期に合わせて3年に1度しか点検していない場合には、違反となるので注意が必要です。

消防設備点検は誰がおこなってもいい?

前述した、法的に定められている対象の建物を点検する場合には、消防設備士・消防設備点検資格者などの資格をもった専門家による点検が必要です。

・延べ面積1,000平米以上の特定用途防火対象物

・延べ床面積1,000平米以上の非特定用途防火対象物で、消防長または消防署長が指定したもの

・延べ面積1,000平米以下の特定用途防火対象物のうち、直通階段が1つしかないもの

上記以外の建物の消防設備を点検する際は特定の資格がない人でも検査が可能となっていますが、消防設備は技術的に特殊なものが多いため、専門の資格をもった人がおこなうことが望ましいとされています。

消防設備点検や報告を怠った場合の罰則

点検や報告を怠った場合には、「点検報告義務違反」「維持管理義務違反」「設置命令違反」などにより「30万円以下の罰金または拘留」や「1年位以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられます。

消防用設備点検の項目と取替え事例

ここでは、具体的な消防用設備の点検項目と取替え事例について説明します。

消防設備点検の検査内容について説明します。

消防用設備点検の主な項目は5つ

・消火設備

・警報設備

・避難設備

・消防用水

・消火活動上必要な設備

設備の種類使用目的設備の名称など


消火設備
初期消火に使用火災が発生した場合に、消防隊が到着するまでに使う設備消火器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、二酸化炭素消火設備、ハロゲン化物消火設備など

警報設備
火災発生を知らせるための設備自動火災警報装置、漏電火災警報器、火災報知設備、ガス漏れ火災報知設備、非常警報装置など

避難設備
火災発生時に避難するための設備避難はしご、緩降機、救助袋、誘導灯、誘導常識など

消防用水
火災が発生した場合に消化のために使用消防用水防火水槽、またはこれに代わる貯水池など

消火活動上必要な設備
火災が発生した際に、高層階や地階など消防活動が困難なケースに備えてあらかじめ設置している消防用設備排水設備、連結散水設備、連結送水管、非常コンセント設備など

消防設備の取替え事例

消防設備は、万が一のときに正常な作動が必要不可欠であることは前述したとおりです。

消防設備ごとに耐用年数や交換時期が決められているので、安全確保のために早めの交換、取り換えをおこないましょう。

・消火器

・非常警報用バッテリー

・誘導灯バッテリー

・受信機バッテリー

・誘導灯用蛍光灯

設備名使用目的など耐用年数および取替え基準など
消火器初期消火のために不可欠な設備・8~10年が耐用年数
・使用期限を過ぎた消火器は破裂による人身事故の恐れあり
・腐食や傷などがみられる場合には、使用期限になっていなくても取り換えが必要

非常警報用バッテリー
火災発生をサイレン音で知らせる装置4~6年が交換基準

誘導灯バッテリー
停電時に誘導灯を点灯させるためのバッテリー4~6年が寿命

受信機バッテリー
電気室・警備員質・制御室などに設置されており、発砲した場所がわかるシステム4~6年が交換基準

誘導灯用蛍光灯
非常時に避難経路を示す蛍光灯直管型蛍光ランプの交換基準1~2年コンパクト型ランプの交換基準半年~1年LEDはメーカーの公表値どおりに交換

消防設備点検の費用相場

法的に定められた消防用設備を点検できるのは、消防設備士や消防設備点検資格者の資格をもった専門家です。

費用がある程度かかっても安全には変えられません。マンション、施設、ビジネスホテルの設備を点検した場合の費用の相場を紹介します。

建物のタイプ別の料金例
共同住宅(マンション)
※3階建て総戸数12戸の場合
老人ホーム
※5階建て居室数80部屋の場合
ビジネスホテル
※8日建て客室数100部屋の場合
30,000円(税別)60,000円(税別)70,000円(税別)

※テックビルケア建物のタイプ別の料金例

建物の規模や築年数、設備の種類や数量により金額は変わります。

消防設備点検から報告の流れ

点検を年2回おこなう根拠や点検の内容、費用相場について解説してきました。

ここでは、実際に点検を依頼してから報告までの流れを説明します。

まずは建物や消防設備に関する高い専門性をもった、消防設備士や消防設備点検資格者などが所属する業者へ点検を依頼しましょう。

消防署が直接点検を請け負うことはありません。

点検の日時を決めたら、その日に消防設備士資格者が点検のために訪問します。

点検の際には依頼した側の関係者も立ち会いが必要な場合があるので事前に確認しておきましょう。

点検が完了したら、消防設備士資格者のもとで作成した点検結果報告書を、管轄地域の消防署へ提出します。

報告書類の作成方法と提出について

報告書は定められた様式に記入します。

一般財団法人日本消防設備安全センターなどの関係各所のWebサイト上からテンプレートを入手可能です。

報告に必要な書類は、主に下記の4種類です。

・消防用設備等点検結果報告書

・消防用設備等点検結果総括表

・消防用設備等点検者一覧表

・必要設備の点検票

このうち、点検票を同封する場合は、消防用設備等点検結果総括表は省略してもいいとされています。

点検結果報告の提出先は、建物が実存する住所ごとに定められた各消防署へと提出します。

郵送の場合は、到着後1〜2週間で手続きが完了します。

消防設備点検業者を選ぶ4つのポイント

有事の際に、人命を守る消防用設備の定期的な点検が不可欠であることはもちろんですが、その点検を依頼する業者の選び方も重要になってきます。

ここでは点検を依頼する業者を選ぶポイントを解説します。

1.トータルサポートの体制が整っている

2.緊急時に対応してくれる

3.常に最新情報を把握している

4.見積書が明瞭

順に詳しく解説します。

1.トータルサポートの体制が整っている

業者を選ぶポイントの1つ目は、トータルサポートの体制が整っていることです。  

消防設備は、点検が済めばそれで終了というわけではありません。

異常や不具合が見つかれば当然速やかな修理や交換が必要になってきますし、点検後は報告書を作成して所轄の消防署へ提出しなければなりません。

また、専門的でわかりづらいことがある場合にも、適切なアドバイスや相談に乗ってもらえるかどうかも大切なポイントです。

消防設備点検に関する業務全体をフォローしてもらえるかだけでなく、設備の工事や書類作成に関するトータルサポートが可能かどうかを、事前に確認することが大切です。

2.緊急時に対応してくれる

ポイントの2つ目は、緊急時に速やかに対応してもらえるかどうかです。

火災が発生しなくても、何らかのトラブルが発生する可能性は常にあります。

たとえば、連結送水管から水漏れしたり、警報装置やスプリンクラーが誤作動したりすることもあるでしょう。

このように火災以外のときでもトラブルが発生した場合に、迅速に対応してもらえるかどうかは重要です。

緊急時の対応が可能かどうかも必ず確認しておきましょう。

3.常に最新情報を把握している

常に最新の情報を把握しているかどうかも大きなポイントです。

消防法は、大きな災害事故が起きるとその都度改正されるため、これまでおこなっていた点検や報告のやり方を変える必要も出てきます。

消防法を遵守した点検を実施するためには、実施する点検業者が常に業界の法令などに関する最新情報を把握していることが求められます。

消防業界の最新情報を把握しているかどうか、問い合わせや見積もり依頼の際にいくつか質問して確認してみるのもいいでしょう。

4.見積書が明瞭

点検業者を選ぶ際の最後のポイントは、見積書が明瞭かどうかです。

見積書に、点検箇所や点検の内容・項目ごとの費用の内訳が明瞭に記載されているかを確認しましょう。

適正な価格かどうかを判断するために、いくつか相見積もりを取ってみることもおすすめです。

また、見積書を依頼したり、出された見積書に対する質問をしたりするために問い合わせた際、電話の応対や言葉づかいが丁寧な業者かどうかも必ず確認しましょう。

依頼すべきかどうかの判断基準にできます。

消防設備点検は40年の歴史と実績をもつテックビルケアにおまかせください

有事の際に備えるために、消防用設備の点検はとても重要です。

ただ、点検の必要性についてある程度把握したとしても、実際に自分の住むマンションや所属する会社が、消防法が規定する対象のどのカテゴリーに入るのか、また申請の具体的な手続きや方法などよくわからないという方も多いと思います。

設備の点検だけでなく、設置や交換・メンテナンスなど、消防設備に関することは、40年の歴史と実績をもつテックビルケアへお気軽にご相談ください。

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